Translated by Emily Warren and Dan Sherer
Kenchō 7th year (1256), 8th month, 12th day
Former Lord Governor of Ise (Nikaidō Yukitsuna) 1
Governor of Sagami (Hōjō Tokiyori) cypher 2
Governor of Michinoku (Hōjō Shigetoki) cypher 3
Original Text 原文
一 鎌倉中挙銭、近年号無尽銭、不入置質物之外、依不許借用、甲乙人等以衣裳物具、
置其質、盗人亦令売買贓物者、所犯忽可令露顕之間、窃以贓物入質物、令借用之処、
被盗主見付質物之時、銭主等称世間之通例、不知其仁并在所之由申之云々、所存之
旨、甚以不当、於自今以後者、入置質物之日、可令尋知負人交名在所、若沙汰出来
之時、至不引手次者、可被処盗人也、以此旨面々可相触奉行保内之状、依仰執達如
件、
建長七年八月十二日
相模守(北条時頼)判
陸奥守(北条重時)判
伊勢前司殿(二階堂行綱)
Kundoku 訓読
鎌倉中の建長七年八月十二日 (1256)
相模守(北条時頼)判陸奥守(北条重時)判伊勢前司殿(二階堂行綱)
Modern 現代語
鎌倉中の借金について、最近「無尽銭」といって、貸主は質物を預からない内にお金を貸さない事になっているので、一般の人は衣裳・持物を質に入れる。盗人は贓物を売ったら、その罪がすぐ発覚するから、その代わりにひそかに質に入れ、お金を借りる。しかし、元の持ち主が贓物を見つけた時に、貸主が世間の慣習を理由として、質入れした人の名前・住所をしらないふりをする。この考え方がとても怪しからんことである。これから以後、質物を入れる日に、借主の名前・住所を聞かせるようにしなさい。もし、裁判が起きたら、貸主はその証拠書類を出さないなら、盗人と同じく罰せらるように。このことを奉行の担当する保の人々にしらせるように。将軍の詞による命令は以上である。
建長七年八月十二日 (1256)
相模守(北条時頼)判
陸奥守(北条重時)判
伊勢前司殿(二階堂行綱)
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Nikaidō Yukitsuna, 1216-1281. Son of Yukaidō Yukimori. As Kamakura shogunate commander, he helped issue judicial decisions and laws. He became regent to the shogun in 1270 (Ben’ei 6). 『日本人名大辞典』 ↩
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Hōjō Tokiyori (1227-1263) was a powerful regent responsible for preventing the Kujō Yoritsune coup and the formation of a shogunal court system. ↩
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Hōjō Shigetoki (1241-1287) was the great uncle of Tokiyori, co-regent (1283-87). ↩